木漏れ陽の中、坂道を下りきった正面が自炊部の玄関。
日帰り入浴客の受付としても賑わう帳場(事務所)の左に、お土産屋を兼ねた自炊部宿泊客のための食品売店(9:00〜21:00)がある。
豊富な品揃えと、素朴さを絵に描いたような店の雰囲気に感動しつつぐるりと商品を見回すと、あったあった、ありました、秋の終わりの大沢温泉といえばキノコ。
地元でボリとかボリメキと呼んで親しまれるナラタケを発見。聞けばとても出汁が出るキノコらしいことがわかった。
自炊部には当然ながら炊事場があって、宿泊客なら誰でも利用できる。ならばと、旬のボリをたっぷり使った発作的汁物を作って食べようと決めた。
ということで、売店で地元花巻産の揚げ、同じく花巻産の豆腐、結びシラタキ、長ネギ、そして地醤油を買う。ボリの汁物だから「ボリじーる」と名付けよう。
なんかロシア語みたいでおかしい。
ということで、さっそく「ボリじーる」の調理開始である。
炊事場には水道(洗い用に温泉水も出る)、食器やお箸、まな板、フライパン、やかんしゃもじ、おたまなど、調理に必要な道具がひと通り用意されていた(包丁は帳場で貸し出し)。
ちょっと驚いたのが電子レンジ。
ひと昔前の湯治場にはおそらく無かったはずの文明の利器だが、一億「チン」時代の今、こうした鄙びた自炊部にも電子レンジは不可欠な調理機のひとつとなったのだ。
さて、電子レンジに並んで、古い時代から今もなお、大沢温泉自炊部の炊事場の顔として君臨し続けているのがコイン式のガス台であろう。
10円で約8分使えるというから、お湯はもちろんのこと、ちょっとした料理なら10円で完了できてしまう。
さて、「ボリじーる」のレシピはイラストを見ていただくことにして、その調理にまつわるちょっといいエピソードをひとつ。
ボリというキノコが出汁豊富だということと、地元花巻産の醤油で仕上げようと考えていたものの、作ってみたらどうも何かひと味足りない。
やはり味噌的なものがあるといいなぁなどと考えていたところ、東京から単身来ているという男性が「よかったらどうぞどうぞ」と快く笑顔で味噌を貸してくれた。
今や希薄となったお隣さん感覚がここには息づいているのに感動しつつ、その男性にも「ボリじーる」をお分けして一緒に食べたのであった。めでたしめでたし。
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・トイレは共同だがオールシャワートイレ。便座も暖かくて快適。
・寝具はすべて一泊単位でのレンタル。敷き布団210円、シーツ74円、枕10円、毛布210円。
